主張せずとも、確かに感じる存在感。
非の打ち所が見つからない、トータルバランスの高さ。
ワンランク上の、上質な生活。
いつの間にか、積水ハウスで建てることが目標になった我が家。
当時の我が家は、家づくりで1つのステータスを得ようとしていたのかもしれません。
「積水の家=勝ち組」ろいう、世間体を気にしたステータスを…。
しかし積水ハウスで建てることをやめました。
そう、気づいたのです。
積水ハウスは「良い家」を提供しているのでなく、「家を建てたい人の心をくすぐるのが上手」な会社だってことを。
この記事では、我が家が積水ハウスで建てなかった理由を包み隠さず紹介します。
実際に積水ハウスで建てた方、現在建てている方、契約をした方が読まれると気分を害されます。
あ、あと、積水ハウスや関連会社で働く人。
そのような方はこの先に進まないで下さい。
Contents
積水ハウスのデメリットに気づいた日
これに気づいたのは契約を視野に入れ、参加した住まいの参観日。
実際に住んでいる積水の家に訪問し、4人家族の等身大の家を見ました。
住み始めて2年の住み心地を住まい手さんに直接聞くことができたのです。
私が伺ったお宅は、旦那さんがお仕事で不在。
奥さんと未就学児の子供2人が案内してくれました。
住まい手さんが驚くぐらい色々と教えてくれました。
しかもデメリット中心に(笑)
積水のデメリット
我が家は積水ハウスの「イズ・ロイエ」というシリーズで建てようと、打ち合わせを進めました。
イズ・ロイエをサクッと紹介すると、積水ハウスで家を建てる7割の人が選ぶ超人気シリーズ。
鉄骨構造ながらも、木造構造(シャーウッド構法)よりも安価・高耐久・自由度が高いと、三拍子そろっています。
多くの人に選ばれるのも分かりますよね。
しかし、積水ハウスの家を選ばなかったのは、3つの理由があります。
①「外観、似すぎっす」
イズ・ロイエで建てるほとんどの人が採用するのが、外壁のダイコンクリートです。
それもそのはず。
例えお隣さんで火事が起きても、840℃の火災熱を室内に通しません。(耐火性)
13トンのロードローラーが乗っても耐えます。(耐圧性)
特殊塗装+目地でメンテナンス周期は30年と、通常の外壁の半分。(耐久性)
「採用しないのが可笑しい」
ダイコンクリートはそんな外壁です。
最初は高級感があってお気に入りだったんですよ。
でも最近は、同じ色・柄のダイコンクリート採用の家を多く目にして…。
我が家を「単調な家」って感じるようになってしまいました。
ここ数年販売戸数1位だった積水ハウス。
年間1万戸以上も建てています。
ザックリ計算しても7割の人、年間7千人がダイコンクリートの家を建てています。
(積水で建てる7割の人が「イズ・ロイエ」を選んでいます)
ただでさえ色と柄のバリエーションが少ないのに、それでいて毎年7千人以上の人が同じ外壁の家を建てるんです。
何度も積水ハウスで打ち合わせをした人、住いの参観日に参加した人、イズ・ロイエで建てた人なら車を走らせていると気づくんです。
「あっ、積水の家だ」
「ここにも積水の家」
そう、街中に積水の家があることに…。
現に私も、住いの参観日を堺に、パッと見で積水の家を見分けるスキルが身につきました。
「積水の家=勝ち組」という固定概念が崩れ始めた瞬間ですよね。
「街中、勝ち組だらけじゃん!」
いや、違いますね…。
数の多さから全然特別じゃないことに気づいただけでなく、むしろ主張のまったくない無個性な外観と感じるようになりました。
②「冬、寒すぎっす」
積水ハウスの営業マンに何度も言われました。
何度も言われるものだから、特段調べることもなく、疑いもせず信じていました。
でも住いの参観日で教えてもらった事実に仰天。
朝方、外が氷点下だと室内は10℃以下ですよ。
エアコン無しでは当然生活ができません。
暖房を入れればすぐ温まるそうですが、これは積水ハウスの家が高性能というより、今どきのエアコン暖房が高性能のように感じるそうです。
現に住い手さんのお宅では2畳の小さな書斎でハロゲンヒーターを使用しても、止めた途端に寒くなると言っていました。
基礎体温の高い子供たちですらも、家の中で靴下をすすんで履いていました。
高気密高断熱神話が更に揺らぐ一言まで飛び出ました。
ちなみに2個隣の一条で建てた方は同じ月に16,000円と言っていたので、我が家の電気代は2倍以上です。
お互い太陽光を載せず、オール電化なのに…。
同じ条件で数字で比較してくださり、とても参考になりました。
いや、これ以上参考になるデータなんてありませんよね。
③「価格、高すぎっす」
これは負け惜しみですが、積水ハウスの家はめっちゃ高かったです。
最終的な総額から算出した坪単価は108.5万円。
ちなみに本体坪単価は78.0万円です。
希望予算は3,000万円でお伝えしていました。
しかも外構・土地代こみで!
なのに出してきた見積りは総額でも外構・土地こみでもない、建物価格で3,000万円超え…。
営業マンに私たち家族の希望予算が伝わっていなかったのか確認をすると…。
どの家も最初は夢を詰め込んだプランを提案し、どんどん贅肉を削いでいくんです。
あまりにも私たちの希望を無視した言葉に腹がたちました。
更に営業マンは続けます。
皆さんできているんですから。
大丈夫です、この家はマドリエさんご夫妻の夢を120%詰め込んだ家。
ここから一緒に等身大の家を模索していきましょう。
なんとも上手くまとめている感じがしますが、土地も外構も含まれていないこのプランを希望予算にまで落とすイメージが湧きませんでした。
あなたは2,000万円近くも削ることできますか?
積水ハウスのメリット
我が家は住いの参観日に参加した翌週に見積りとファーストプラン(間取りや外観図)が出ました。
正直、間取りは本当に気に入りました。
いや、金額・性能・外観(ダイコンクリート)以外は全て気に入りました。
お庭と繋がるリビングや、高級感がにじみ出るデザインもそうです。
提案力は他のハウスメーカーの比ではなかったかもしれません。
外観は好みが分かれるとしても、金額・性能に寛容な方にはオススメです。
施主を盲目にさせるハウスメーカー
ここからは私が積水ハウスで打ち合わせをした、実際の感想を紹介していきます。
積水ハウスは「良い家」を提供しているのではなく、「選ばれる家」を提供している話です。
抽象的なイメージで安心感を与える
「家に〜帰れば〜、積す〜いハウス〜♪」
CMもそうですが、はっきりとしたイメージは沸かないまでも、「なんか良い家だぞ」と思わせるのが得意な積水ハウス。
品確法性能表示制度の“等級4”に標準対応
断熱性能を高め、室内の温度ムラを少なくする技術により、「省エネルギー基準」をクリア。品確法の最高等級に標準仕様で対応しています。
断熱材が壁体内でずれ落ちることのないよう断熱内壁枠と、熱橋を極力排除する内壁下地壁枠取付金具を採用。長期にわたって確かな性能を発揮し、確実な断熱性能を実現。「冬暖かく、夏涼しい」快適な環境をつくります。
引用:積水ハウス公式HP
「“等級4”に標準対応」「省エネルギー基準をクリア」「冬暖かく、夏涼しい」といった言葉は、聞き手に良い印象と安心感を与えます。
しかし、実際にのところ2月の電気代は33,000円。
性能で有名な一条工務店の2倍以上です。
積水ハウスの家は「良い家」でなく「良さそうな家」で勝負をしています。
そしてそれが大成功したハウスメーカーなんですね。
もちろん、集客ができないハウスメーカーとは比較にならないほど「営業」「広告」が上手な会社です。
様々な面で日本一のハウスメーカーです。
1960年創業と、既に60年以上も家づくりをしている会社です。
「ブランド力」「安心感」を見ても、積水ハウスを超すハウスメーカーはありません。
木造?鉄骨?坪単価比較
木造と鉄骨の両方で家を建てられるハウスメーカーは極めて少ないです。
積水ハウスはその数少ないうちの一社。
我が家は鉄骨の耐久性・耐震性と、コストパフォーマンスの高さに惚れて選びました。
木造の家(シャーウッド)も震度7相当の地震を耐える耐震性があるので「鉄骨のほうが格段良い」とは言い切れないのですが。
しかし、価格(坪単価)ではがっつり差が開きました。
両者の平均を比較してみましょう。
鉄骨 | 木造 | |
大きさ | 37.8坪 | 34.0坪 |
本体工事価格 | 3,298万円 | 3,377万円 |
その他工事 | 480万円 | 536万円 |
総額 | 3,997万円 | 4,045万円 |
本体坪単価 | 88.6万円 | 100.2万円 |
引渡坪単価 | 106.7万円 | 120.1万円 |
※ 本体工事価格:本体工事価格のみ。引渡坪単価:土地+外構以外の総額(家具家電・諸費用等含む)。
総額は変わらず4,000万円前後ですが、家の大きさが4坪近く変わってきますね。
併せて本体坪単価は10万円ほど変わり、引渡坪単価は15万円ほど変わってきます。
大きく差が出ましたね。
もちろん、我が家は悩む間もなく鉄骨を選びました(笑)
「コスパ×」がむしろ魅力!?
コスパはもうお分かりですね。
性能面で見たとき、積水ハウスの家はとても悪いです。
ブランド力・高級感・安心感・による追加料金が大きい会社とでも言いましょうか。
高級ブランドのヴィトンやベンツと近い存在ですよね。
ただ勘違いしないでください。
ヴィトンやベンツを所持している人を見て「バカな人だな…。」と思う人はいないですよね?
確かにもっと可愛くてで丈夫で容量の大きなバッグはあります。
もっとスピードも早く低燃費で大人数が乗れる車もあります。
しかしヴィトンやベンツを購入する人は、そんな事どうでもいいんですよね。
「ブランド物を身にまといたい」
「高価なものを所持することで、自分のステータスを示したい」
そこにコスパなんて必要ないんです。
むしろコスパが悪いものをあえて手にしたがります。
それが「ブランド」のパワー。
住宅においても一緒。
そのブランドを確立できたハウスメーカーこそが積水ハウスなんです。
ダイワハウスやヘーベルハウス、スウェーデンハウスなんかもブランド戦略に成功したハウスメーカーですね。
「積水ハウス=コスパの悪い家」は古い考えです。
いっときの私のように「積水ハウスの家を建てるというステータス」を求めている方、実は多いんです。
ステータス・高級感・ブランド力といった「憧れ」を上手く活用し集客する積水ハウス。
企業としてみた時、他の大手ハウスメーカーと比較して頭一つ分、抜きん出ていますね。
(大手以外のハウスメーカーとは雲泥の差)
まとめ
長くなってしまったのでまとめましょう。
大きく分けて私が選ばなっか3つの理由です。
- 外観のワクワクは一過性だった
- 断熱性能(電気代)に期待しすぎた
- 提案(お金の部分)に納得できない
これらの理由から、だんだんと積水ハウスへの「憧れ」が薄まり、選択肢から外しました。
きっかけは住いの参観日にお伺いした住い手さん。
ホント積水ハウスさんも不運です。
この出会いがなかったら、積水ハウスで家を建てていた可能性が少しはありましたもん。
もし、積水ハウスの家を見分ける目を持たず、街中にこんなにあることに気づかなかったら?
電気代の事実を知らなかったら?
担当が違う方で、違った見積りを出していたら?
「それでも積水ハウスで建てなかった!」
なんて断言できません。
現に「憧れ」を抱いて打ち合わせを始めた私がいたのですから。
こんな人には向いていない
- 徹底的にコスパを求める人
- 性能を重視したい人
- 高級感・ブランド力以外に拘りがある人
ヴィトンやベンツを否定する人がいないように、積水ハウスを否定する人もいません。
世間一般的には「積水の家=良い家」というイメージが定着しているので、当たり前ですよね。
ただ、拘りが違うところにある人にはヴィトンもベンツも心に響きません。
自然素材・性能・北欧住宅…。
あなたが特別な拘りを見つけられているのなら、積水ハウスは万人受けのつまらない家でしか無いでしょう。
こんな人には向いている
- 最も多くの人が羨ましがる家を建てたい人
- 全てが洗礼された素材を追求したい人
- 悪目立ちしない佇まいを手にしたい人
チーフアーキテクトという、積水ハウスの一級建築士の中でも厳しい審査を突破した279名(上位10%未満)が提案するプランは、大手ハウスメーカーの中でも至極の邸宅。
提案力も相まり、積水ハウスの家は万人受けをします。
否定する一般人はまずいません。
あなたも積水ハウスで家を建てれば、多くの人から羨ましがられます。
憧れを抱かれます。
家づくりを1つのステータスと感じる方が多いのが今の日本。
今も昔も変わらない普遍的な価値観です。
おわりに
この記事では私が積水ハウスを選ばなかった理由を紹介しました。
しかし、すべての人が私と同じ条件ではありません。
家族構成が違うかもしれません。
拘りが違うかもしれません。
年収が違うかもしれません。
時間をかけず(1年以内)に、万人受けする家を建てたいのなら積水ハウスはオススメです。
しかし、拘りを見つけたい方は1番最初に積水ハウスに行ってもあまり発見は無いでしょう。
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