コロナの影響で木材価格が3割程上昇。
この記事ではウッドショックの概要と、ハウスメーカーの対応・値上げ額について紹介していきます。
正直、終わりが見えないウッドショックですが、1つ1つ前例のピースを埋めていくと答えが見えてきます。
Contents
ウッドショックとは?
ハウスメーカー毎の値上げ額を見る前に、まずはウッドショックについて確認しておきましょう。
ウッドショックとは木材の需要が供給を遥かに上回り、各ハウスメーカーや工務店が木材を手に入れにくくなった状態です。
現在は日本だけでなく、世界各国でウッドショックが起きています。
日本は海外産の木材を輸入できないか、相場以上の金額を払い輸入する状態です。
ウッドショックが起きた理由は?
お家時間の増加から注文住宅や建売だけでなく、リフォームまでも昨年を大きく上回わる受注量です。
その量は前年の1.5倍と、住宅業界はバブル状態。
繰り返しになりますがこれは日本に留まらず、世界各国で起きています。
むしろ海外での問題が深刻です。
海外ではコロナから建築ラッシュが続いています。
木材を輸出せず自国で消費しているのです。
(アメリカは低金利+コロナ巣ごもり需要で住宅業界がバブル状態です)
併せて輸送コンテナ不足も影響しています。
海外でも巣ごもり需要から日本で言うアマゾンや楽天のように、インターネット通販が盛んです。
海外から輸入する商品も絶好調。
輸送の時にはコンテナを使用し船・飛行機・トラックで運びます。
輸送業者は木材以外に高値で利用してくれる業者にコンテナを貸し出し、木材輸送のコンテナが不足している事も大きな要因です。
・海外での住宅ブーム
・コンテナ不足
どのぐらい値上がりしたの?
安価な海外産は品薄からアメリカでは価格が2倍になった木材もあります。
高価な日本産の木材は供給が追いつかず、競りでは通常の3割増しでの落札が目立ちます。
世界中での需要が上がりすぎ、輸入材が7割の日本は大打撃です。
現状は在庫を確保していた大きな住宅会社(ハウスメーカーや工務店)が多く、住宅業界全体で見ると木材費は3割程度の値上げ。
海外輸入に頼り切りで在庫を抱えていない小さな工務店では、5割程値上げをしている所もあるそうです。
※ 家を建てる総額が3〜5割上がったのではなく、材料の一部の「木材」だけが値上がりしました。
ウッドショックの影響
・契約金額の見直し
・引き渡し時期の遅延
・資金繰りに困る工務店の増加
・大工の離職
上記4つの事態は予想ではなく現状です。
すでに起きているのです。
契約金額の見直し
契約後に仕様変更が繰り返され、木材の調達ができない工務店。
そんななかコロナショックで建築費が大幅アップ。
「〇千万円です」と契約したお宅も、木材値上げの影響で建てることができなくなってしまったのです。
契約した以上、赤字でも建てる
契約変更をお願いし、経営と雇用を守る
難しい決断ですよね。
しかし、ギリギリで経営している工務店も少なくなく、契約変更を施主に打診した工務店も実際にあります。
引き渡し時期の遅延
ウッドショックの影響で材料調達の目途がたたない工務店も発生しています。
木材を工務店に棚卸しをする材木店やプレカット工場も、年間を通して多く取引をしてくれるハウスメーカーや大きい工務店との関係を崩さないため、小さな工務店は後回しするケースです。
小さな工務店としては材料を仕入れる資金があっても、業者が卸してくれないケースもあるのです。
資金繰りに困る工務店の増加
これは説明するまでもありませんね。
木材を調達するお金が足りなくなるケースです。
建築費は契約・上棟・完成と分けて住宅会社に支払うケースがほとんどです。
当然、完成前に材料を自費で建て替える必要があります。
そのお金が木材の値上げで圧迫される工務店は少なくありません。
大きな工務店やハウスメーカーでは少ないですが、やはり小さな工務店では厳しいですよね。
大工の離職
材料が入ってこなければ家を建てることができません。
多くの大工は月給制ではなく出来高払いです。
仕事が絶え間なく入れば安定した生活が送れます。
一方、現場と現場の間が空くとその分収入が無くなるのも現状です。
地域・経験・住宅会社により差はありますが、日当1.5万~2万円が相場です。
年間を通してボーナスがなく、月に5日しか現場に入れない時期があると…。
これは小さな工務店に限った問題ではなく、誰もが知る大手ハウスメーカーでも同じ問題を抱えています。
特にハウスメーカーで自前の大工(月給制)を抱えているところは積水ハウスぐらいじゃないでしょうか。
ハウスメーカーの値上げ状況
ローコストメーカーのタマホームでは5月に40万円の値上げ。
更に6月には50万円以上の値上げがあったと言われています。
これは1棟あたりの値上げです。
大手ハウスメーカーでは100万円前後の値上げも予定されているようです。
一方、「夏頃の契約分までは木材を確保しています」というハウスメーカーや工務店も多いようです。
日本も住宅需要が高まっているため、もちろん前倒しになることが予想されますが。
ハウスメーカー23社の坪単価はコチラ↓を参考にしてください。
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ウッドショックはいつまで続く?
正直、終わりが全く見えないウッドショック。
当分の間は続くと言われています。
値上げは状況次第ですが、まだまだ続くと言われています。
毎月のようにです。
落ち着けば値下がりする?
残酷なお知らせです。
ハウスメーカーで検討中の方は諦めて下さい。
ハウスメーカーに値下がりはありません。
ローコストのタマホームですら、値下げの前例はありません。
「値上げはあっても値下げは無い」
ハウスメーカーの暗黙のルールです。
例え木材の値段が下がっても価格は下げず、その他のグレードを上げて調整をします。
「価格は変わらず、〇〇が標準仕様になりました!」
は、お得なキャンペーンでもなんでもなく、他の材料費が下がったことによる帳尻合わせ。
お気づきかと思いますが「キャンペーンで今だけ〇〇が無料!」も同じことです。
ただ、良心的な工務店は値段を下げる(元に戻す)可能性は十分にあります。
しろくまさんが運営する【しろくまの家づくり】ではハウスメーカーの値上げ情報が細かく紹介されています。
間違いなく、現在最もタイムリーな値上げ情報です。
地元工務店の値上げ状況
もちろん値上げはハウスメーカーに限ったことではありません。
地元工務店からは…。
値上げは合板など「木」を使用する建材だけではなく、「コンクリート」のような材料にまで及びます。
建材が”超”品薄状態
品薄状態はハウスメーカーや工務店だけに直結する問題ではありません。
ホームセンターでも影響が出ています。
ウッドショックの意外なメリット
繰り返しになりますが日本の住宅の木材は7割が海外産です。
輸入が困難になった今、日本の木材に注目が集まってくるでしょう。
特に杉とヒノキ。
海外産の木材でよく輸入されるのが米松です。
米松は真っすぐで成長も早く柔らかく、短い年月で加工のしやすい家に適した木材なのに価格が安いのが特徴。
一方日本の木材は成長がゆっくりではあるものの、年輪が詰まっていて丈夫です。
ただ、米松と比較するとお高め。
米松の拡大で日本の林業は下火ですが、先の見えないウッドショックから安定供給が見込める国産の杉とヒノキが注目されています。
余談ですが、投資家たちの間ではこの話題で持ちきりだそうです。
過去のウッドショック
過去にも2度ウッドショックは起きています。
1度目はアメリカで絶滅危惧種のフクロウ保護のため森林伐採の規制が強まったとき。
2度目はリーマンショック直前の好景気に発生した建築ラッシュ。
いずれも新技術や代替え材料の開発から数年で解消されています。
マイホーム計画中の方へアドバイス
終わりの見えないウッドショックは、指をくわえて機会を待っていてもすぐに好転することはありません。
半年以上先にハウスメーカーでの家づくりを考えている方は、ウッドショックが落ち着いて木材の価格が安定しても残された道は2つ。
1.高いお金を払いグレードの高い家を建てる
2.ハウスメーカーでの注文住宅を諦める
ただでさえ高級志向にシフトしているハウスメーカーですから、この値上げで更に加速するでしょう。
マンションも「2020年(東京オリンピック)以降は値下がりする」と言われ続けていましたが、現状横ばいです。
首都圏の土地も同じく、値下がり説を跳ね返しほぼ横ばいです。
将来の選択肢は建売か中古住宅の2択が有力と言えるでしょう。
注文住宅を考えている方はまず、行動を起こしましょう。
数ヵ月の判断の遅さで数百万円の差が出る時代になってしまったのですから。
そして、家づくりをする際には視野を狭めすぎないことがポイントです。
オススメはハウスメーカーと工務店の両方を見る事。
ハウスメーカーは研究開発に力を入れ、新技術を導入しています。
過去2度のウッドショックで生まれた代替え材料のように、新技術で危機を乗り切ることが考えられます。
そして工務店は新技術こそ後発で導入しますが、昔ながらの工法や木の扱いに特化しています。
国産杉やヒノキで建てる家を続けている工務店は多く、工務店専属職人の腕はハウスメーカーの大工とは比べ物になりません。
(工務店では自前の大工を抱えているところがハウスメーカーより圧倒的に多いです)
過去の前例と現代の注目から、ハウスメーカーの開発力と工務店の技術力の両方をカバーしておくことが、ウッドショック時代の現代には最もリスクの少ない選択と断言できます。
まずは近くのハウスメーカーと工務店をチェックしておくだけでも、いざという時に慌てず行動することができますよ。
万事に備えて住宅会社を探す
とは言ってもハウスメーカーは近くの住宅展示場に行けば簡単にリストアップできますが、工務店は探すのが困難です。
ググればそれほど難しくは無いように感じるかもしれませんが、なんせ家づくりの方法や金額は全く違います。
併せて自分が「建てたい!」と感じる家を提案してくれるかは、インターネット上では決して見えてきません。
これだけは断言できます。
住宅会社へ足を運び、要望を伝え、間取りを書いてもらい、それでやっと金額を教えてくれます。
1社でここまでするのに1ヵ月近くかかるのが注文住宅での家づくりです。
そこで「やっぱり違うな…」と気づくケースがほとんど。
これが注文住宅で誰もがぶつかる壁なんですよね(TT)
住宅会社選びの解決策
もし注文住宅を考えているのであれば、タウンライフ家づくりは活用して間違えの無いサイトです。
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さらに要望を記入すれば、無料で間取りと見積りをあなた専用で作成してくれます。
私もタウンライフ家づくりを活用して住宅会社を探しました。
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実際に貰った間取りや見積りも載せてあります。
おわりに
いかがでしたか?
この記事では「全ハウスメーカー超大幅値上げ理由はウッドショック」について紹介しました。
過去の前例と現代の注目から、ハウスメーカーの開発力と工務店の技術力の両方をカバーしておくことが、ウッドショック時代の現代に最もリスクの少ない選択だと学びましたね。
いざという時に慌てず行動しないためにも、家族の幸せを守るためにも、ぜひ参考にしてみて下さい。